サイレントブラスの進化 (2023年現在)
サイレントブラスとは?
金管楽器に使用するいわゆる「ミュート」で楽器の音量を小さくする消音器。
ミュートには種類があり、楽曲中に楽譜指示で使用するようなものではなく、単純に大きい音を小さくし練習をしやすくするアイテムがこのサイレントブラスです。
これらの消音器の仕組みは基本的にはアナログなもので楽器のベルから出る音をミュートで塞いで弱音するというものですが、これだけでは単純に楽器の音量が減ってしまうだけになりますので、それを奏者の耳に返すという機能をもった精密機器です。ですので、ミュートに対し必ず「パーソナルスタジオ」という専用の機材が必要になります。
1995年~2013年頃 (例:トランペット用はSB7 = PM7 ミュート+ ST9 パーソナルスタジオ)
ミュートの形が大きく違います。重さも結構ありますね。ですが、イヤフォンできけるという製品はかなり画期的であったと思います。
2013年~2023年頃 (例:トランペット用はSB7X = PM7X ミュート+ STX パーソナルスタジオ)
ミュートは余計な装飾のないシンプルな形状になりました。トランペット用の場合、重量を40%軽量化、容積で50%のコンパクト化を実現しながら、従来品とほぼ同等の消音性、吹奏感、音程感を実現しました。
また、ヤマハ独自のデジタル技術「Brass Resonance Modeling(BRM)」を搭載し、トランペット、トロンボーン、フレンチホルン用は従来の「ベルの中で起こっている音をそのまま耳に返す」のではなく、「奏者が普段聞いている自然な音に処理して耳に返す」ことで、軽量・コンパクト化されたミュートと相まって「まるでミュートをつけていないような感覚」に進化しました。
尚、2016年頃にパーソナルスタジオSTXはSTX-2に変わり、これまで非対応であったチューバ・ユーフォニアム・フリューゲルホルンにおいても機能「Brass Resonance Modeling(BRM)」が対応になりました。
2023年~ (例:トランペット用はSB7J = PM7X-2 ミュート+ STJ パーソナルスタジオ)
ミュートに大きな変化はありませんが、バストロンボーン用のアタッチメントができこれまで使えなかったバストロンボーンにも対応するようになりました。
また、「Brass Resonance Modeling」は、より快適で自然な音に近づきました。さらに、奏者の好みに合わせてリバーブが調整できるようになり、またUSBケーブルで簡単にパソコンやスマートデバイスに接続し演奏の録音、録画に対応できるようになりました。より表現力の高さを求めるニーズに応えられる精度に進化したと言えますね。